オンデマンド印刷の、可能性を広げたい。

版を使用してインクを転写する【オフセット印刷】が主流とされている印刷業界では、版を作らずデータを直接印刷する【オンデマンド印刷】が軽視される事は少なくありません。

ですが、私たちが導入しているイリデッセというオンデマンド印刷機は、そんなこれまでの常識を大きく覆すことができると思っています。印刷の美しさは勿論のこと、42億色という広色域の表現や、メタリック印刷に厚盛り印刷という、様々な印刷技法を一台で完結させることが可能です。

そんなオンデマンド印刷技術の良さをもっと広めたい！という思いから、東京ビジネスデザインアワードというコンペティションに参加し、デザイナーさんからのアイデアを募りました。そこで、SANAGIさんというデザイン事務所からご提案頂いたものが、この「さかなかるた」でした。魚の鱗のキラめきや凹凸を印刷で再現するという、難しいテーマではあったのですが、試行錯誤を重ねることで、本物の魚にも負けない美しい仕上がりとなりました。ぜひ、実際に手にとって遊んで頂けたら光栄です。

最後に、この「さかなかるた」という商品は、私たちだけの力だけでは到底実現し得ないものでした。これまで、ご協力頂いた全ての方に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

柳川満生（株式会社千葉印刷）

オリジナル見本帳の作成
通常の印刷機では表現が難しいメタリック印刷などの見本帳。千葉印刷では、オンデマンド印刷でどんな事ができるのかをまとめたオリジナルの見本帳を作成しており、これによってデザイナーが出力後の質感を想像しやすくなっている。

印刷したカラーの確認
印刷したかるたとオリジナルの見本帳を比べ、想定した通りの色が出ているかを確認した。微妙な調整によってカラーや質感が変化するため、印刷機の扱いには高い技術力が必要となる。

メタリック専用トナー
さかなかるたの特徴でもあるメタリック感の表現に最も重要なのが、このメタリック専用トナー。（家庭用プリンターでいうインクのようなもの）これにCMYKの色を混ぜることで様々なメタリック感を表現している。

かるたケースのプロトタイプ作成
プロッターと呼ばれる機械を使用して、デザイナーが考えた様々な形状のケースを簡易的に制作し、開閉のしやすさ、サイズ感、見た目の美しさなどを検討した。

かるたの質感の検討
同じ印刷データでも、印刷機の設定によって質感は大きく異なってくる。メタリック感やウロコの凹凸の再現のために、同じかるたでもいくつも印刷パターンを変えて最適なものをチーム全員で検討した。

デザインしないデザイン

42億色の表現や、メタリック印刷が可能な最新鋭のオンデマンド印刷機「イリデッセ」

この印刷機の素晴らしさを多くの人に知ってもらいたい！というのが、柳川さん（千葉印刷）から与えられた本プロジェクトのテーマでした。私たちは、イリデッセで印刷したサンプル帳などを見ていく中で、「これだけ美しい印刷ができるのだから、余計な事はせずに、そもそも美しい自然界のモノを印刷で再現するのはどうだろう？」と考えました。

鉱物や結晶、色彩鮮やかな昆虫など様々な自然界のモノを検討していく中で、魚の持つ光沢やテクスチャを印刷で再現するのが最適だと考え、日本人に馴染み深いかるたにしました。

本物の魚を切り取ったかのような美しさや触り心地を、楽しんで頂けると幸いです。

SANAGI design studio

かるたのデザイン検討
デザイン過程で、様々なパターンのかるたデザインを制作し検討した。デザインを修正しては印刷して確認するという工程を何度も経て、最終的なデザインに辿りついた。

魚に関する情報の確認作業
かるたに記載する魚の情報に間違いがないよう、図鑑等を参考にして入念な確認を行った。30冊を越える図鑑が、毎日机の上に並んでいるという日々が続いた。

取扱説明書のデザイン検討
ラフ案作成時の様子。購入頂いた方が分かりやすく安全に遊べるよう、ブラッシュアップを重ねた。

プロトタイプの制作
かるた本体は勿論のこと、パッケージから取扱説明書まで全てのプロトタイプを制作しながら様々な検討を行った。最終的に制作したプロトタイプの数は、200を越える。

水場での使用を想定した検証
水に浮かべた際の沈み具合を確認している様子。どの程度の量のインクを載せると重さで沈むのか？どの厚さの紙が最適なのか？水で使用しても品質的に問題ないかなどの検証を行った。